不動産におけるリースバック取引は主に、住宅物件を業者に売却したうえでその物件に住み続けることを言います。持ち家を売却し、家賃を支払って居住することにメリットは無いように思えますが、不動産物件をスムーズに処分できる方法として注目されているのも事実です。住宅をリースバックにする人はその多くが高齢者ですが、これは所有者が死亡した際、権利の譲渡に手間がかかるためです。本人の意思が確認できない状態で遺族に財産を分けることになり、トラブルは避けられないと言えます。
その点、リースバックで所有権を業者に売却していれば相続のトラブルは発生しません。また、固定資産税の支払い義務が喪失するのも大きなメリットです。住宅物件の資産価値は地価に影響されるので、立地によっては税額が膨大なものになります。所有権を売却していれば、税金の支払いで悩まされることはありません。
一方でリースバックは必ずしもいいことづくめとは限らないのも事実です。住宅物件の所有権を譲渡することになるので、買い取った業者の都合で立ち退きを要求される可能性は否定できません。長く住み続けることが可能と謳う業者は少なくありませんが、地価や景気の変動で居住契約が反故にされるリスクは考慮すべきと言えるでしょう。また、リースバックによる売却は一般的な売買契約よりも安価で決まることが珍しくありません。
平均すると数割ほど安価で設定されることが多いので、納得できる結果になるよう、複数の業者に相談して慎重に決める姿勢が求められます。